神様セッション
しばらくすると今日のメンバーが揃ったようだ。
約20人ほど。
見た限り俺より年上のサーファーが多い
日焼けした体に白髪のボウズ頭は
自分のおじいちゃんを思い出す。
どこか阿吽像の様な神様感があって体も分厚く逞しい。
ずっと海にシェイプされ続けて来たのだろう。
そんな中、男か女かわからないくらい華奢で
色白のロン毛が内股で見ていて気持ちいい脱力したラインを描きまくっていた。
か細い身体のどこから
そんな馬力が出ているのかわからないくらい
波に調和し彼は誰よりも波に乗っていた。
幽霊の様に重さを感じさせない
その乗り方には不気味さすら覚えた。
ごっつい阿吽像の中に
まるでキリストが迷い込んだ様な絵面に
つくづくサーファーっておもしれえなあって感じた。
そんな事を考えていると
自分の目の前にセットが迫って来ている
呼吸を合わせ丁寧に速くパドル
テイクオフし遥か遠くに気持ちよく運ばれる。
バックサイドは苦手だったはずが
そんなことは嘘だったかの様に当たり前に乗れた。
苦手ってのは"苦手意識"のことなんだなあ
つまり思い込みなのだ。
と今降りて来たばかりの感覚を噛み締めながら
パドルしラインナップに戻ると
皆が褒め称えてくれた。
まるで世界中の神様に褒めてもらえた気分だ。
ありがとう、世界中の神様たち。