アリとキリギリス
17:45
砕かれた花崗岩が敷き詰められた
粒の粗い白い砂浜で
透明な波に溶ける太陽をぼーっと見ていた。
嗚呼、本格的に夏が終わる。
熱を冷まし、夏が去るのをぼーっと見ていた。
去り際までこんなに美しいなんてずるいな
目をそらせずにそのまま腰をおろす。
砂浜に張り巡らされたハマガオに手が触れ
近くにいたキリギリスに気がつく。
ここは特等席だな
俺はお前に憧れたアリンコだ
それかアリンコのフリをしたキリギリスだ。
18:07
そんな俺のつぶやきをよそに
触角を伸ばした小さいキミドリ色が
短い命に両手を擦り合わせて
太陽が溶けるのをじーっと見ていた。