デイドリームビリーバー
散々スケートをして
火照った身体を冷ましながら徘徊していると
どうぞ、ここに寝転んでください
と言わんばかりの木陰と目があった。
イエスマンの俺は大の字に寝転がり、
地面を背に形を変える雲を見おろす。
程よい風と周りに咲いたシロツメグサの
柔らかい匂いに夢見心地だ。
夢うつつに寝返りをうつと
四つ葉のクローバーを見つけた。
だが、むしり取るようなマネはしない
次に見つけた人がほっこりする様に。
幸せは独り占めしない
クローバーもそれを望んでいないから。
見つけた分むしりとるのはちょっと違くない?
波でも同じことが言えるんじゃないかな?
ガツガツしてる人は品が無い。
ここは俺の海だ!とか笑っちまう。
んじゃあここは俺の地球だ、馬鹿野郎。
海も地球も宇宙でさえ誰かの所有を許さない
むしろ我々がその一部なのだ。
ん?
この思考はどこから降りて来たんだ?
いや、湧いて来たのか?
風に乗って来たとか?
知らないうちに拾い集めたのか
どこからか滑り込んできたとか?
俺の気持ちも形を変えながら
あくびの向こう側、空を漂う。
散漫していた意識を白い花に向けると
シロツメグサの茎をよちよち、よちよちと登るてんとう虫がいた。
ずっと眺めていると
そいつは翅を広げどこかへ旅に出た。
心の中で手を振る
いってらっしゃい、達者でな〜!
俺はもう少しここでまどろむ。
大きく背伸びして目をつむる
鼻の先に何か虫がとまり
再び目を開けると2時間経っていた。
指先でつまみ取る。
てんとう虫だ
さっきの奴かな?
にしてもお洒落だな
自然の中では目立って逆に不利なんじゃないかな?
どういうつもりなんだ?可愛いけど。
人差し指を登り切ると
そいつは本日2回目のテイクオフ。
あ〜寝過ぎた。
まあ、いいか
こんな日もわるくない、べつに。