曇天
鉛色の空が重く垂れ込む
波はあまり期待していなかった。
でこぼこのオフロードを重ためのロックを
流しながら駐車場に向かう。
気分はマッドマックス怒りのデスロードだ。
途中、避けれないほどの水たまりがあり
いっそのこと汚れてやれ!と豪快に突っ込む
嗚呼、気持ちいい!
おりゃおりゃおりゃー‼︎‼︎‼︎
うりうりうりぃ〜‼︎‼︎‼︎
ひゃっほぉ〜いッ‼︎‼︎‼︎
泥だらけの車を停める。
先客がもう着替え出してる
おはざーす!まずは挨拶だ
挨拶は自分からと心掛けている。
とぅーす!うぃーす!とそれぞれ返ってくる
ここでは何を言ってもそれが挨拶になる。
橋を渡り、植樹されたクロマツを踏まない様に防波堤までショートカットする。
防波堤を登り、海を見渡す。
おお、全然いいじゃんか
真っ白に淀んだ空の下、面が乱れる事なく
曇り故に境目が曖昧になった地平線から
控えめに光るシルバーのうねりが届いていた。
既に8人程度が波待ちをしている。
ワクワクした気持ちで防波堤を降り
クロマツ林でおじさんとすれ違う
きっとサーファーだ。
んだバブりシゃらース!さっきより雑に
むしろ"おはようございます"を
どれだけはみ出せるか選手権を勝手にしている。
んぅジニぁ〜す!波どうでした?
やはりサーファーだった
共通言語で応えてきた。
なかなか出来そうですよ!
おっ❤︎ やったッッッ❤︎
おじさんの目が一瞬で少年に戻り輝く。
こーゆーところだよな、
サーフィン の良いところは!
と嬉しくなりなんだか清々しく、
俺の心は静かに晴れ渡った。