ふじこ
なんとなく思いつきで
おばあちゃんと散歩
幼い頃は小さな俺を自転車の後ろに乗せて
町中を転がしていた、おばあちゃんと散歩
歩くのは遅いし、歩幅も狭い。
右手にはトランスフォームするお気に入りの杖を握りしめる、80過ぎのふじこと散歩
いつのまにか小さくなったな
俺がデカくなったのかな
俺のあげた帽子をかぶって
鼻歌を歌いながら
つかつかとどこまでも歩く。
ばあちゃん、なんで毎日こんなに歩くの?
『錆びるがら、歩ぐのをやめだら歩ぐの忘せで、歩げなぐなっぺや』
ネイティヴな東北弁で俺に応える。
なるほど、説得力よ。
目を離すとふじこは
ゴミ捨て場のカラスと杖で戦っていた。
かわいいばあちゃんだ。
たまにまた散歩しよ。