バック・トゥ・ザ・フューチャー
夕食後なんとなく気分で
自転車に乗り懐かしい道を辿る。
電車通学だった俺が
あの頃自転車で通った最寄駅までの道だ。
風はぬるく
田んぼに囲まれているので
カエルの鳴き声が脳に直接響いてくる。
踏切の音が遠くから聞こえ、
水鏡になった田んぼの暗闇の上を
光る電車の輪郭だけが
ガタンゴトンと滑って行く。
ペダルを漕ぐのをやめて見送る
気持ちは16歳にタイムスリップしていた。
バイクの免許を取ってからは
よく皆んなで海に行ったな。
アイツら今どこで何してんのかな?
ふと見上げると1番星
なんとも言えない気持ちになり
立ち漕ぎ、速度をあげる。
息を深く吸うと
どこからかカレーの匂いがした。
今度会えたら海に連れて行こうと思った。
俺たちは未来こそ懐かしいものにしなければならない。
浮かれたあの頃を思い出す。