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      合計

      海へ還ろう

      入野海岸

      入野海岸

      まだ薄暗い時間に目を覚ます。

       

      う〜

      車の中で背伸びをする

       

      まだ星がうっすら見える。

       

      時間は5時半

       

      風は吹いていない

       

      なんとなくで車を走らせる

       

      もうナビる必要とか感じていなかった

      自分を信じていた。

       

      あっという間にビーチに着くと

      サーファーが何人かすでに着替えていた。

       

      車を停めてビーチを歩く

      地平線が橙色に縁取られ輝き出すと

      滑らかなウネリもしっかり届いていることに気がつく。

       

      サイズは頭半〜

       

      よっしゃー!

       

      すぐに着替えて海に入る。

       

      水温は温かくサンフルでは少し暑かった。

       

      パドルでラインナップに辿り着く頃に

      ちょうど太陽が昇りだし

      照らされた他のサーファーの顔も

      眩しそうにニヤついていた。

       

      今日もいい日になりそうだ。

      ぽこぺん

      ぽこぺん

      さて、ヒッチハイカーと別れ

      再び1人旅。

       

      さみしさと不安とワクワクが三つ巴状態だ。

       

      また陽が沈んだ。

       

      空は雲一つなく澄んでいた。

       

      お腹が空いたので

      近く 食事 とググり

      1番近かった"ぽこぺん"で食べることに

      スーパーの裏の駐車場に車を停め

       

      程よく食事を済ませてほろ酔いで車に戻る。

       

      シートを倒して視界いっぱいに拡がる星空とにらめっこ。

       

      あーなんだよ、ひとりじゃもったいねえよ

      なんかこう特別な人と見たいよなあ。

       

      中途半端に人と関わったので

      孤独な旅の孤独さに気がついてしまった。

       

      さあ、明日こそやっとサーフィンできるぞ!

      なんの確証もないがもうそんな気がしていた。

       

      目を瞑りあれこれ考えているうちに

      眠りに着いていた。

       

      車で寝るのはこれで何日目だろうか?

      有言実行論

      有言実行論

      そのまま海沿いを気持ちの良い天気のまま進む。

       

      左手にキラキラした海を見ながら

      波に目を光らせ

      右手にはミドリ豊かな山がそびえ

      時おり白装束のお遍路さんとすれ違いながら

      南を目指す。

       

      残念ながら波が綺麗に割れてるところはなかった。

       

      室戸岬あたりで

      諦めついでにヒッチハイカーに尋ねる

       

      なあその美味しいカツオのタタキはどこで食べれんのよ?

       

      明神丸です!マジで美味いですよ!

       

      おし!向かうぞー!

       

      高知に入ってからの海沿いの道は

      全て黄色信号で点滅していた

       

      のどかでいいね、四国ナメてたわ。

       

      あれよあれよとバギーズもゲットし

      明神丸でカツオのタタキを食べ

      満足した我々は海を目指す。

       

      キラキラした海が目に入った瞬間

      お互いにテンションが再び上がる。

       

      おしっ!

      あの辺ではいろう!

       

      はい!

       

      車から降り海に向かい走り出す

      身につけていたものはルパンが不二子を抱く時の様に一瞬で外し海にダイブ!

       

      ヒッチハイカーは笑いながら

      ついてくる

       

      気をつけろ!案外深ぇぞ!

       

      あい!冷た〜い!ほんまや!深い!

       

      散々はしゃぎ切り

      浜辺にいた若い女の子に2人にロックオン。

       

      OK、俺に任せとけ。

       

      あい!

       

      なんやかんやで

      仲良くなりヒッチハイカーを徳島まで乗せてもらえる事になった。

       

      1時間後に戻って来るそうなので

      海を見ながら互いに黄昏る。

       

      そう言えば昨日言ってた事覚えてますか?

       

      ん?

       

      僕が同世代の若い子にヒッチハイクしてもらいたいって言ってたじゃないですか!

      それを叶えてやるって!

       

      ああ、叶ったね

      俺の言霊むちゃくちゃ強ぇんだよね笑

       

      あはははっマジすか?

      しかも女子大生、ばっちり世代です!

      なんかコツありますか?

       

      ん〜強いて言えば

      有言実行を必ずし続ける事かな

       

      と言うと?

       

      有言実行を必ず実行し続けると

      口に出した事を宇宙が勝手に用意してくれるようになる

      これは世界と自分との約束みたいなもんだな

      守り続ける限りは守られる。

       

      おー、なんか急に真面目で説得力ありすぎて

      普通に感動しました。

       

      半分は冗談だけどな笑

      ほら、これやるよ、ヘアゴム。

      俺のパワー注入しといたからこれつけてる間は有言実行し続けろよ!

       

      はい!ありがとうございます!

       

      ほんじゃそろそろ次の町に行くわ!

      日が暮れる前に!

      ちょいちょい生きてるかだけ連絡よこせよ

       

      はい!ありがとうございました!

      宮古島で待っててください!

      ヒッチハイクで絶対行きます!

       

      あっ!言ったな?

      有言実行だぞ?

       

      わかってますよ!

       

      それでは!宮古島で待ってるわ

      またね〜!

       

      再び1人で走り出す

      サイドミラーで見えなくなるまで手を振るヒッチハイカーが見える。

       

      まさか1ヶ月半後に本当に宮古島まで

      ヒッチハイクして来るとはこの時は半分信じてなかったんだけど。

       

      縁て凄えね。

      生見海岸

      生見海岸

      夜明け前に目を覚ます。

      まだ星が出ていた。

       

      おはよう!寝れた?

      サーフィンしたいから生見海岸向かうぜ!

       

      おはようございます

      ありがとうございます。

       

      生見海岸を目指して車を走らせる。

      サーフィン前のワクワクと仲間が増えたワクワクとで朝からテンションがいつもより高かった。

       

      生見海岸に着く。

      まだ太陽は出ていない。

      駐車場は有料だった。

      他にもサーファーが何人かいる。

       

      防波堤を登り海を見渡すと水平線からちょうど太陽が顔を出す。

       

      もうすでに海に入り波待ちをしているのが23人。

       

      しかし波はイマイチだ。

      だが朝陽に照らされた景色全てが絵になっていた。

       

      入るんですか?

       

      ヒッチハイカーが聞いてくる。

       

      いやあ、微妙だから入らないかな

      でもせっかくだから散歩しようか。

       

      2人で波打ち際を5分ほど散歩し車に戻る。

       

      海沿い走ってれば波あるかもだから

      このまま海沿いを南に向かうぜ!

       

      はい!

       

      という事で更に南へ。

       

      通り過ぎる海沿いの町並みは

      初めて来るのになぜかどこか懐かしい気持ちになった。

       

      そして何かに導かれている実感が湧いてきた。

       

      きっとこれが俺の人生なんだろうな。

       

      とりあえず昨日お風呂入れなかったし

      海で水でも浴びるか?

      てか、ヒッチハイカーとかって風呂どうしてんの?

       

      そうですね〜

      4日前に四万十川で水浴びました!

       

      え!笑 ワイルド!

       

      大丈夫ですか?僕くさかったりします?

       

      いや、匂いは大丈夫だけど

      髪がちょっとだけオイリーだね。

       

      海入りたいんですけど

      僕海パンないんですよね〜

       

      おっしゃっ!

      それじゃ海パンどっかで買って

      ついでに朝飯兼お昼ご飯食べて海で水浴びしようか。

       

      え〜最高です!

      日本一周するならやっぱ海パン必要ですよね?

      海パン何履いてますか?

       

      バギーズだよ、パタゴニアの!

      とりあえずバギーズあればいいかなあ

      ノーパンで過ごせるし。

       

      んじゃそれ買います!

      10月後半ですけど置いてますかね?

       

      OKんじゃこのまま海沿いを南下しながら

      パタゴニア目指そう!

      ググって!ナビ頼むわ!

       

      分かりました!

      お!ナビったらパタゴニアの近くに

      僕が最近食べた最強に美味しかったカツオのタタキのお店ありますよ!

       

      OK!んじゃあ昼飯はカツオのタタキじゃ!

       

      いえー!最高ですね!

       

      ふぅー!だって俺たちは"自由"だしな!

       

      色々なことがとんとん拍子で決まり

      お互い気持ちの良い奇声を上げる。

       

      わっはははっ!

       

      笑いが込み上げる

      助手席からも笑い声が聞こえる。

       

      だって俺たちは"自由"だしな!かあ

      我ながら気持ちの良いセリフだな。

       

      また笑いが込み上げた。

      旅は道連れ

      旅は道連れ

      いい予感に従い

      コンビニに入る。

       

      さあ、どれがヒッチハイカーだ?

      出来れば可愛い子がいいなあ

      でも字が汚いからきっと男だな。

      相当やばいやつじゃない限り乗せてやろう。

      ヒッチハイカーいねえかなあと口に出した途端に現れたので運命を感じテンションが上がる。

      なんて一気に考えながら店内を見渡す。

       

      あきらかに近所に住んでるであろうおばちゃんと子どもが2人。

      高校生と見るからに汚いスウェットの小汚いお風呂2週間サボってますなほぼ野生のおじさんが1人。

       

      ん〜

      この中でヒッチハイカーぽいのは

      あの野生のおじさんくらいかなあ。

      え〜しんど。乗せたくねえ。

       

      しかしトイレに2人入っている。

      それに賭けるしかない。

       

      よし、入り口のバックパックの前で待って

      誰が来ようが話しかけよう。

       

      すると2週間サボってますおじさんが

      おでんを買って外に出てくる。

       

      まさか

       

      しかしトラックに乗るとエンジンをかけて消えていった。

       

      トラックを見送りながら心の中でガッツポーズをしバックパックを観察しながら持ち主を待つ。

       

      持ち主は腹をさすりながら店から出てきた。

      すぐに話しかける。

       

      こんにちはヒッチハイクしてるんですか?

      俺、今ちょうどヒッチハイカーいねえかなあって探してたんだよね、けど逆方向かあ〜。

       

      ええ、はい。

       

      俺は宮城から宮古島目指して車で縦断中なんよね、良かったら乗る?てか、乗っちゃえよ。

       

      わはっ、行きましょう!いいんですか?

       

      おう、あたりめえよ

      俺が今1番探してたのはヒッチハイカー。

      それよりさ、腹減った

      なあ、飯食った?

       

      いいえ、食べてないです。

       

       そうかあ、とりあえず飯屋探すかあ〜。

       

      あたりさわりない会話をしながら

      車を走らせていると"めしや"という看板が光っている。

       

      もう、ここじゃねえか。

       

      2人でカレーを注文してお互いの旅の話をする。

       

      ヒッチハイカー出てこい思ったらヒッチハイカーに会えるし飯屋探してたら"めしや"っていう飯屋出て来たし俺今最強だわ笑

       

      え〜んじゃあ、俺の願いも叶えてくださいよ

       

      え?いいけど何?

       

      ヒッチハイクって結構男の人とかおじさんが多いんですよ、乗せてくれるの。

       

      ほう、。

       

      たまには同世代くらいの若い女の子の車に乗りたいです。

       

      おまかせあれ🧞‍♂️

      俺と別れるころには女の子の車に乗せてあげましょう🧞‍♂️

       

      お願いしますよー!

       

      カレーを食べ終え眠くなり

      彼はずっと野宿して来たらしいので

      近くの道の駅で一緒に車中泊をした。

       

      星がすげえ綺麗だった。

      ヒッチハイカー

      ヒッチハイカー

      僕は富山県からヒッチハイクで日本一周中。

      今日でたしか40日目くらい。

       

      室戸岬にて日の出と共に起床。

      この日は前からおすすめされていた

      むろと廃校水族館へ行くことに。

       

      看板がなかったら普通に学校だなあ〜。

       

      階段を上がって廊下を歩く。

      手洗い場に魚泳いでた、斬新。

      教室にもたくさんの展示があった。

      ウミガメとか小魚とか教室ごとに違う魚がいて面白かった。

      外に出ると25mプールも水槽になっていてサメもいた。

      学校をこんな形で再利用しようと思う発想力すごい。

      面白い場所なのでぜひ行ってみてください。

      一通り見終えて水族館を後に。

       

      近場に良さげな場所があったのでヒッチハイク。目的地は徳島県。

       

      やっべ。室戸市交通量少ねえ

      本当に少ない。

      ましてや徳島県に行く人なんてもっと少ない。

      信じて待ってたら、おじさんが停まってくれた。しかも徳島ナンバー。

       

      徳島入り口の海陽町の住民らしいおじさん

      この人もとりあえず乗せるタイプらしい。

      助かりました。ありがとうございました。

      長く滞在した高知県ともお別れ。

      絶対にまた来る。沢山の思い出ありがとう

      そしてこんにちは徳島県。

       

      時刻は夕方。

      とりあえず野宿できそうな公園を探す。

      その途中でおじいさんに声をかけられた。

      どうやら、ひ孫と歳が近いらしい。

      おじいさんからは応援と共に深い話を沢山聞かせていただいた。

      やっぱ年重ねてると話の深さが違うなあ。

       

      おじいさんと別れた後、お腹が痛くなったのでコンビニに駆け込む。

      辺りはもうすっかり暗くなってしまった。

      さてどうするかと思いながらコンビニを出たら、目力の強い誰かがバックパックをまじまじと見ている。

       

      ヒッチハイクやってるんですか?

      俺、今ちょうどヒッチハイカーいねえかなあって探してたんだよね、けど逆方向かあ〜。

       

      聞けばその人、宮城から宮古島を目指して車で日本縦断してるんだとか。

       

      話したらめっちゃおもろそう。

      乗りました。逆方向やけども。

      もうなんかよくわからないオーラが出ていて

      着いて行きたくなった。

       

      なあ飯食った?

       

      いいえ、食べてないです。

       

      僕が答えるとその人は秒で車を走らせた。

       

      そうかあ、とりあえず飯屋探すかあ〜。

       

      と言いながら。

       

      それから2人で旅の話とか色んな話しながら

      真っ暗な海岸線を走らせているとあった。

      しかも"めしや"って名前の飯屋。

       

      2人で大爆笑しつつ、ここしかねえ!ってことで行ってみることに。

       

      とりあえず2人ともカレーを注文。

       

      彼曰く、カレーは幸せをカタチにしたものらしい。

       

      めっちゃ美味い。

      満足感に包まれて、あとは寝るだけ

      野宿のつもりが車中泊させてもらえることになった。

       

      翌日サーフィンするそうなので近くの道の駅で寝ることに。

       

      待てよここって...ただいま高知県。