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      海へ還ろう

      空。

      空。

      毎日海に入りたくて

      仕事辞めたのにさ

      体が足りねえのよなあ〜…。

       

      せめて体はあと5

      チンチンはこうキングギドラみたいになってればいいのにあ〜…。

       

      ちょっと何言ってんの?

       

      え?あ?起きてたん

      一言も喋ってないよ、俺無口やし。

      おはよう、空むちゃくちゃ綺麗よ

      風も気持ちいいし。

       

      いやいや、なんかすごい下品な独り言が聞こえたんだけど!?

      は?無口だった時1回もないんですけど!

      ステキなセリフでちゃらにしようとすな!

       

      あー心の声が漏れてたみたいね〜

       

      ダダ漏れしすぎでしょ!

       

      ウィーン

      窓を更に開け、空をにらむ。

       

      空よ!見とけよ!

      俺は今日この娘にチューすんぞ!

       

      空に叫ぶ。

       

      え?急にどうした?

      ダダ漏れどころじゃないじゃん!

       

      ああ、そうだよ

      漏れるってダセェじゃん。

      だから叫んでみた!

      空よ!舌もガッツリいれてやんぞ!

       

      あーもう、なんなの笑

       

      まあ、見ての通り

      俺は今、偉大な空と約束したわけよ

      君の協力次第で俺は嘘つきになっちゃうから

      協力してくれ、頼むぜ。嘘つきは嫌いだろ?

       

      ふふふ、馬っ鹿じゃないの!?

       

      お前はそんな馬鹿の助手席で

      無防備にも寝てたんだぜ。

      気をつけろよ。

       

      心配無用です!

      てか、この道ずーっと真っ直ぐで

      気持ちがいいね!

       

      なあ、俺みたいだなあ。

      よし、この道を"のむをロード"と名付けよう!

       

      わははは

      まーた馬鹿なこと言ってる笑

      しかもネーミングセンスの無さよ

      ダッサ!!!

       

      あえて!あえてのダサさよ!

      そのものがカッコよければ

      見た目や呼び方なんて関係ないだろ

      まあ、俺だってこのとおり

      名前だけじゃ想像がおよばないくらいかっこいいわけだしさ。

       

      でたよ、ナルシスト!

       

      自信ねえやつよりいいだろ?

       

      まあ、そうね。

       

      しばらく真っ直ぐな農道を走らせ

      やっと現れた次の赤信号でキスされたぜ。

       

      空よ、見てたか?

      俺は約束を勝手に守ったぜ。

       

      週末予報じゃ雨か曇りらしいな?

      晴れにしてくれ!

      お世話になってるショップの大会があるんだ。

       

      ついでに夜は肌寒く頼む

      さりげなく上着を貸すために。

       

      空よ、今度はお前が約束守れよ?

      バカほどいい

      バカほどいい

      したいが主体

      やりたいがしたい

      理解者いない 

      間違いがしたい。

       

      他人のためにやるんじゃないよ

      自分がやりたいからやるんだ。

       

      馬鹿なら馬鹿ほどかっこいい

      ダメならダメほどかっこいい

      そういう世界があるはずなんよ。

      ため息

      んぅ〜、はあ〜

       

      どーしたん?

      ため息なんてついて、珍しい。

       

      ん?いやあ、

      抱き損ねた女の子に想いを馳せてただけだよ笑

      俺ならもっとイケたんじゃねぇかって。

       

       

      あ〜笑

      そういう事ね!

       

      照れ隠しであんな事言ったけど

      本当は感謝のため息だったんだ。

       

      この日のことも

      あの日に出会えた事も

      あんなことやこんなことも

      あらゆる全てがありがたくって

      思わず言葉にしきれない"ありがとう"

      ため息になって口から漏れ出ていた。

       

      だから

       

      あ〜笑

      そういう事ね! じゃねえよ、アホ。

       

      その言葉にも違う意味があるのかもだけど。

       

      んぅ〜、はあ〜

      ラブレター

      ラブレター

      海へ

       

      俺は今お前を見ながら

      生まれて初めてラブレターを書いてます。

       

      会える日は絶対幸せな日になるから

      この感じがずっと続けばいいなあって

      毎回思う。

       

      サーフィンするようになってから

      ますます惚れてしまった。

      自由奔放で気分屋

      いろいろな表情をくれる

      ありのままのその魅力にやられた。

       

      どこにいて何をしていても

      アホみたいに楽しいから

      出来ればもっとそばにいて欲しいし

      本当は連れて帰りたい。

      お前といると普通の日が普通じゃなくなる

      お前を感じれる、それだけで幸せ。

       

      ここでアホみたいに笑ってたいです。

      来るたびに好きになってます。

       

      いつも癒しをありがとう

      出会ってくれてありがとう

      また会いましょう。

       

      100年後もそのままでいてください

      100年後に俺はいないけれど。

       

      きっとずっと好きです。

      ズドドドーンッッッ!

      なあ、波情報どうなってる?

      コンビニで買ったホットのほうじ茶を飲みながら友人にたずねる。

       

      おにぎりを頬張る友人が俺にスマホの画面を見せる。

       

      波は大きく非常に危険な状況です。

      重大な事故に繋がる恐れがあるので

      海に入ったり近づくのは控えてください。

       

      無表情のアプリが液晶越しに教えてくれる。

       

      せっかく休みかぶったけど

      俺はやめとくわ〜見学しとくよ。

       

      友人は早めに見切りをつけて見学を選んだ。

       

      でも俺は知りたかった。

       

      荒れ狂う海と

      そこに入った時の自分の気持ちを。

       

      気がつくと俺は海にいた、

      海に入っている人は誰もいなかった。

       

      あきらかにデカい。

      ズドドドーンッッッ‼︎‼︎

      音もデカい。

       

      しかし、本当の意味で知るとは

      五感全てで理解する事だと思っている俺は

      ウェットスーツに着替えていた。

       

      死を感じたら引き返せばいい。

       

      さりげなくチンポジを正す。

      覚悟を決める。

       

      まず手前のスープですら厚く

      ドルフィンができない。

      波数も多く流れも速く方向もめちゃくちゃだ。

      知らない間にどんどん流された。

      ワイドすぎる波が何度も目の前で割れて

      その度に巻かれまくった。

       

      あははは

      ふぉーっ!!!

      やっと沖に出れて笑いが込み上げる。

       

      あははは!ふぉー!やべえね。

       

      この笑いは海に圧倒され

      絶望に近い気持ちから来る笑いだ。 

       

      安全に乗せてくれる波は無さそうだ。

       

      波が早かった

      手前にいるとまかれそうだし

      沖からでは追いつけそうにない。

      試行錯誤を繰り返す。

       

      テイ…ク…オフ!

      もうなにかしてやろうなんて考えはなくなっていた。

      面は固くガラスの彫刻の様に美しい

      と、同時に怖い。

      分厚い壁が小さい俺に迫る。

      レールを入れここ最近の体感速度では

      ダントツのスピードで滑りきった。

      不思議なことに脳内イメージでは

      俺はツバメになっていた。

      が裏から来ていた更にデカい波にまかれる。

       

      あーこっち乗ればよかったかなあ

      なんて考えが浮かぶも束の間

      洗濯物よろしくかき混ぜられる

      息が持たない、焦る。

      また次の波が来る、間に合わない。

      もう沖に出ようなどという気持ちはなくなっていた。

      海面から顔を出すので精いっぱいだ。

      リーシュを手繰り寄せ板にしがみつき

      浜に戻るべく岸に向かってパドルする。

      何度目かのスープに腹ばいのまま乗って

      やっとのことで砂浜にたどり着く。

      体育座りをし膝に頭をつけ目を瞑る。

       

      全身の力を使い果たしたので

      意識だけが砂浜に浮いている感覚になった。

       

      なーるほど!こういうことか!参りました!

       

      へとへとに笑いながら

      もうこういう日は入らない方がいいと

      心身ともに納得した。

       

      が、巻かれ方を学んだ気がしたし

      パドル力強化に繋がったんじゃないかな。

       

      液晶越しでは得難いものを全身全霊で得た。

       

      入らない方がいいと納得はしたものの

      到底敵わないことを体感するのも

      たまには必要なんじゃないかな?

       

      まあ見学じゃ得れないものを得たのは確かだ。

       

      車に戻ると友人は後部座席で寝ていた。

       

      本当に入ったんだね?どうだった?

       

      ん〜、全然大したことなかったよ。

       

      俺は意味ありげにニヤニヤしながら

      ぶっきらぼうにそう答えた。 

      とんぼ

      とんぼ

      崖前で入り

      隣の漁港でも入り

      海から上がり

      大谷海岸を抜けて

      また、横目に見えたよく知らない浜で入り

      浪板に向かう途中だ。

      日もすっかり暮れて釜石で眠気を感じ

      車を停めて飯屋を探す。

       

      駅前のはずなのにどこも空いてない

      嘘だろ!?

      空腹だがせっかくいい波に一日中乗ったのに

      コンビニ飯は心が許さない。

       

      とぼとぼ歩いていると

      赤いちょうちんが目に入る。

       

      ガラガラ〜

       

      いらっしゃ〜い

       

      ジブリに出てきそうなマダムが

      やさしく甘ったるい声でつぶやく。

       

      とりあえずカウンターに座る。

       

      ナマ1つ!

       

      はーい!

       

      店はだいぶ繁盛していた。

       

      お兄さん牡蠣大丈夫?

       

      あー大好きです!

       

      ちょっと待っててね。

       

      改めて店内を見回すと

      ビールとハイボール

      レモンサワー

      地酒以外のメニューは書いてない。

       

      あい!ナマ!

      あと、サンマね!

      今が旬よ!大きいでしょ!

      牡蠣はちょっと待ってね!

       

      いただきまーす!

      美味しそう!

      ところでお姉さん

      ここはどういうシステムなの?

       

      あら嬉しい、お姉さんだなんて。

      あなたのお母さんよりきっと年上よ

      ここはねぇ、私が食べさせたいものを

      勝手にばんばん出すのよ笑

      間違いないものしか出さないから安心なさい。

      それよりあなたハーフ?

      どこからいらしたの?

       

      いやガチガチに日本人です

      宮城から来ました!

       

      あら、そう

      いい男ねえ

      じゃんじゃん食べて行ってね

       

      そういうと

      蒸し牡蠣が10個ほど出てきた。

       

      カウンターの斜め向かいの

      おじいさん3人組がなにやら言い合いを始めた。すでに出来上がっている。

       

      だ〜が〜ら〜

      イカとタコならどちらが強いでしょうか!?

       

      え〜わがんねえよ、どっちも強いよぉ

       

      サイズは?サイズは?

      サイズによっては強さは変わるよ!?

      てか"強さ"って何基準?

       

      思わず3人の掛け合いにニヤける。

       

      そうこうしてるうちに

      枝豆、キュウリの浅漬け

      ポテトサラダとどんどん並べられる。

       

      ナマもう1つ!

       

      はーい!

      お兄さん、刺身食べられる?

      ヒラメとタコとカツオがあるんだけど?

       

      あー、もう全部ください!

       

      あいよー!ついでにホタテとツブものせとくねえ!

       

      ビールが来るタイミングで

      刺身たちもやってきた。

       

      すると後ろから

      ぽんぽんと肩を叩かれる

       

      テーブル席にいた女の子6人組だ。

       

      ニヤニヤしながら乾杯のポーズをして待ってる。

       

      内心驚いたがそんなそぶりは微塵も見せない。

       

      カンパーイっ!

       

      ビールを飲み干す。

       

      いやあ、久しぶり〜

      みんな元気してたー?

       

      いやいや私たちはじめましてだけど!

      てか泡ヒゲについてるし!

      元気だけど!

       

      ああ、だと思った。

      はじめまして〜

      こんなイケてる6人組知り合いにおらんし。

       

      お兄さんイケメンだねって話してたんだよね

      これも食べてよ!

       

      ああ、そうなん

      ありがとうございます、よく言われます。

      お!クジラの刺身じゃんか

      いただきます!

       

      謙遜しないところが気持ちいいね!笑

      なんかお兄さんから海を感じて

      聞いてみよってなって

      私ジャンケンで負けたの笑

       

      は?罰ゲームあつかいは失礼だなあ

      勝った順に話しに来いよ。

      どの辺が海なの?

       

      はあ〜…!?強気だねえ。

      なんかオーラ?

       

      オーラかあ、まあ嬉しいけど!

      とりあえず全員自己紹介してよ

      みんななんか健康そうだけど。

      なんかスポーツしてるの?

       

      各々名前を言うが

      眠いし酔ってるしで覚えられない。

       

      ショート、ロング、タレ目、金パ、

      コアラ、巨乳。

       

      我ながら雑なあだ名で脳みそにインプットする。

       

      私たちは東京からカヤックしに昨日から来てるんだあ〜 

       

      そうそう、こっち寒くてびっくりしたよね

       

      ねー

       

      もう秋じゃん、てか冬。

       

      てか、お魚どれ食べても美味しいね

      それにもびっくり!

       

      これ飲んだ?飲みやすいよ!

      お母さん!グラスちょうだい!

       

      マダムがグラスを持ってくる

       

      あらあ、やっぱりいい男ねえ

      こんなに女の子捕まえて

       

      いいえ、捕まったんです

      このサラダありますか?

      それとクジラまだある?

       

      いうじゃない、いいわねえ

      どちらもあるよ〜

       

      お兄さん、どうぞ

       

      タレ目が注いでくれた

      タレ目のタレ目が酔ってさらにタレてる。

       

      浜千鳥と言う地酒らしい

      すぅ〜っと体に入って来た。

       

      なあ、兄ちゃん!

      それ美味いよな!

      いいなあ、モテモテじゃねえかよ

      コイツなんてもうハゲてるしよお

      俺なんて勃たねえしよお

      ソイツなんて笑ってるだけだしよおッッッ!

       

      隣のじじいの帽子を剥ぎとる

       

      やめろよぉ、寒いよ、風邪ひくよぉ。

       

      わしゃしゃしゃしゃっ

       

      さっきのおじいさん3人組である。

      相変わらず愉快だ。

       

      カンパイ!

       

      グラスが空くたび酒を注がれ

      なんや人生について語り合った気がするが

      最初のイカとタコの話しか覚えてない。

      ちなみにおじいさんいわく強いのはタコらしい。

       

      いいなあ兄ちゃん

      ハゲる前、勃たなくなる前にいッッッぺえ

      遊べよぉッッッ!

      なんにでも旬ってもんがあるからよ

      このサンマしかり人間しかりよ、。

      そうだ!記念に写真撮ろうや

       

      写真という言葉に反応したハゲが急いで帽子を奪い返す。

       

      おいハゲ!帽子被んな、そのままでいい!

       

      わしゃっしゃしゃしゃっー!

       

      写真を撮り終わると凄く上機嫌だ。

       

      お兄ちゃん、ありがとうな

      話聞いてくれてよ

      なんか若さをもらったよ

      パッションて言うかさ

      ここは俺が出す!おかあさん!お会計!

       

      あいよ〜

      その前にあさり汁いかがかしらあ〜?

       

      ああ、いいね!

      お願いします!ここの姉さんたちのも!

       

      10人で無言であさり汁をすする

       

      ふぅ、沁みるね。

       

      ところでお兄さんこの後どうするつもり?

       

      顔が真っ赤かな金パが聞いてくる。

       

      車に戻って寝て〜起きて朝イチから海入ろうかなあ

       

      えー、無理、車で寝てんの?

      シャワー浴びないと寝れなくない?

       

      私ら〇〇ホテルの〇〇号室だから

      来ちゃいなよ

      着いたらLINE鳴らして!

       

      OK!コンビニ寄ってから行く

      なんかいるー?

       

      なんもいらないから早く来て!

       

      なるはやで〜♪なるはやなるはやで〜♪

       

      ショート、ロング、コアラが

      なにやら今出来立てであろう歌を肩を組みながら歌い千鳥足で歩き出してる。

       

      ああ、これが浜千鳥の効果かあ。

      とぼんやり考えながら1人コンビニへ向かう。

       

      テキトーにお菓子とお茶を買い

      車に戻りバックパックを背負って

      言われた部屋の前でLINEを鳴らす。

       

      ショートが扉を開けると

      部屋ではロングがそのロングヘアを乾かし

      巨乳の巨乳が片方タオルからこぼれている。

       

      いえーい、遅いよー!

      来ないかと思った!カンパーイ!

       

      車で寝るとか無理ぃ〜

      シャワー浴びないと寝れなくない?

       

      あはっ!それ私さっき言ってたやつ!

      え?今の私のマネ?バカにしすぎ!笑

       

      似てたべ?まだ飲むの?

      てか乳出てんぞ!ありがてえけど!

       

      は?出してんだけど!?笑

      と言いながらもう片方もタオルをはだける。

       

      お茶なんて飲んでる場合じゃねえね

       

      俺は買ってきたお茶をすぐに冷蔵庫にしまい

      その娘たちの作ったハイボールをもらい乾杯した。

       

      イェーイ!2次会!2次会!

      金パとコアラがはやしたてる。

       

      濃いめのハイボールが

      残り少ない理性を薄めてゆく。

       

      ところでみんな!

      イカとタコどっちが強いか知ってる?

       

       

       

      気がつくと俺は

      ホテルの露天風呂でぽけ〜っと

      涼しい秋の夜風に吹かれ

      酔いを覚ましていた。

       

      いたれり、つくせりである。

       

      そういえば店を出る前に

      マダムが俺を呼びとめてこう言っていた。

       

      あなたね、いい男よ

      この町に来て何年住んでるから偉いとかじゃなくてね

      来て1日目に何が出来たかが肝心なの

      いい?何が出来たかよ!

      また、いらしてね。

       

      お店の名前は『とんぼ』である。

      釜石に寄ったら、ぜひ。