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      合計

      海へ還ろう

      プレイリスト

      プレイリスト

      中学を卒業してすぐに

      ソイツは隣の県の高校に行った。

       

      高校を卒業してすぐに

      関東の大学に行って

      そのまま関東で就職した。

       

      年に何回か帰って来る時は

      俺は張り切って色々な場所に連れ回した。

       

      会えてないのに不思議と距離は感じなかった

      会っていない間に何をしていたかと言うと

      たまに見つけた俺が好きな曲や

      ソイツが好きであろう曲のプレイリストを

      お互いに送りあっていた。

       

      比率的には俺が送りつけていた時の方が多かったかな。

       

      今、振り返って気づいた。

       

      この行為の根本には

       

      "どうせ違う場所にいるなら

      せめて同じ曲を聞いていたい"

       

      というほぼ無意識的な願いがあるな、と。

       

      ああ、もうこれは愛でいいんじゃないか?

       

      離れていた15

       

      2人の間には愛があったんだな。

       

      今は隣で同じ景色を見てるぜ。

       

      俺のiPhoneを覗き込み

      ソイツがたずねる。

       

      のむをそのプレイリスト誰に送るの?

       

      え?内緒!笑

       

      あーガチな時のやつじゃん。

       

      うるせぇよ!

       

      ぴろん♪

       

      俺にかよ!笑

       

      おう、愛してるぜ笑

      これからもよろしくどうぞ。

       

      照れ笑いしながら

      グータッチ。

      BORN TO RUN

      BORN TO RUN

      生ぬるい決意をへし折る数多の困難がある。

      挑むことさえ諦める、過酷な道がある。

      誰もがヒーローになれるほど

      世の中は甘くない。

      だけど、世界を変えられるのは、

      自分を信じて走り続ける人だけだ。

       

      弱気な自分がいる。

      言い訳する自分がいる。

      妥協する自分がいる。

      逃げようとする自分がいる。

       

      でも、それでも

      前に進もうとする自分がいる。

       

      僕らボンクラ、BORN TO RUN

       

      つまらないことで

      つまづいてんじゃねえぞ、ボケ。

      くぅーちゃん。

      くぅーちゃん。

      なあ、

      今年こそ

      来年こそはって

      何年生きるつもりで生きてるんだ?

       

      檻に入ってエサを貰い続けるのか

      地平線を目指し走り続けるのか

      お前はどちらを選ぶ?

       

      と脳内に直接話しかけてくるパピヨン🐶

      ハイヒールとプラネタリウム

      ハイヒールとプラネタリウム

      温かい山菜蕎麦を食べ終え

       

      やっぱキノコって最強だなあ〜

      てか山菜ってやばいわあ

       

      と腹をさすりながら小さく独り言をつぶやき暖簾をくぐり商店街に出てすぐに

       

      近くできゃっ!と小さい悲鳴が聞こえた。

       

      ドレス姿の女性が転んでいる。

       

      大丈夫か?

      お姉さん、ヒールが片方折れてるぞ。

       

      ありがとう!大丈夫!

      知ってるう、折れたあ

      もうむちゃくちゃだるいんだけど

      眠いし!

       

      少し酔っているようだ。

       

      ドレス似合ってるね

      なんか海みたいな色で俺好みだ

      そりゃあ、だるいわなあ

      眠いのは知らん。

       

      ありがとう

      そう、今日友だちの結婚式だったの

      ヒールも久々に履いたし

      2次会のビンゴでこれ当たってさ

      これ地味に重くてバランス崩して転んじゃった。

       

      それなに?

       

      プラネタリウム!?だっけ?

      なんか壁とかに星写すやつ。

       

      いいじゃん、プラネタリウム!

      ほれ!

      おぶされ

      車にビーサンあるからそれ貸すわ

      そこまでおんぶしてやるよ。

       

      え、やさしい!

      いいの?

       

      のむをの半分はやさしさでできてます!

      いいよ!早よ、おぶされよ

      この体勢地味にキツい!

       

      はい、お願いしまーす!

       

      あと今から貸すサンダルは

      18才の頃にユニクロで500円で買った安物だが俺と10年以上色々な場所を旅してきた伝説のサンダルだから借りパクはすんなよ。

       

      安っ!

      それを10年以上履いてるってやばくない?

      もはやヴィンテージじゃん!

       

      そう、だがミゾが無くなって

      雨の日コンビニとかで滑りまくって死にそうになるのでセカンドサンダルとして車に積んであるんよ。

       

      セカンドサンダルて初めて聞いたわ笑

      セカンドカー的な?

       

      そう、何かあった時用のスペア!

      着いたよ。

       

      車に着きサンダルを貸す。

       

      ありがとうございます!

      わぁ本当だあミゾがなーい

      こりゃ滑るわ笑

       

      そーいえば名前なんての?

       

      あ!言ってなかったね!

      てか、よく名前知らない女の子こんな距離おんぶしたね。

       

      なあ、我ながらかっこいいわ

      惚れたろ?

       

      ヒーローだったわ

      それはまだ!

      お兄さんなんか訛ってるね

      どこから来たの?

       

      まだってことはもう惚れ始まってるなあ

      俺ってば罪な男や、宮城!

       

      うるさいんだけど?笑

      仕事?どっか泊まってるの?

       

      いや遊びよ、プー太郎だし!

      これ!この車が本日の宿よ。

       

      ドヤ顔で言うセリフじゃなくない?

      え!寒くないの?

      しかもサーフィン?の板とかもあって

      寝れなそうじゃん。

       

      んだ

      せまいよ。

       

      さっきよりもドヤ顔で答える。

       

      もう!笑なんなのそのドヤ顔笑えてきた

      目もキラキラしてるしなんなん?笑

      私ん家すぐそこなんだけど

      お礼に泊めてあげるよ!

       

      え?いいの?俺が殺人鬼とかだったらどうするの?

      ヒールよ、よくぞ折れてくれた感謝。

       

      えー、んじゃやめとく?

      ちょいちょい

      それは良くないぞ

      お気に入りのヒールだったんだから

       

      いや嘘!虫も殺せません。

      でもヒール折れたおかげで

      俺に会えたじゃんか、プライスレス!

       

      お礼にとコンビニでビールやらツマミやら買ってもらいアパートに向かう。

       

      ヒールもコンビニのゴミ箱に突っ込み

      なぜか2人で手を合わす

       

      ヒールさん成仏してください!

       

      折れてくれてありがとう!

       

      おじゃましまーす!

       

      あ!ちょっと洗濯物隠してくるから待ってて!

      はい、どうぞ!

       

      なかなかいい匂いのする部屋だった。

       

      おつまみ足りないよね?

      ちょっと待ってと言うと

      つまみに海鮮たっぷりのアヒージョが出てきた。

       

      うま!むちゃくちゃ美味しいじゃん

      エビ大好きなんだよねえ、俺。

       

      えへへ、ありがとう〜

       

      お互い酔いも周り

       

      私先にシャワーあびてくるねえ

       

      と彼女は風呂場へ消えて行った

       

      あいよ〜

       

      何かを察知した俺は

      勝手にプラネタリウムを箱からだし

      部屋を暗くしスイッチを入れる。

       

      おお、なんかすげえなあ

      雰囲気ばっちしじゃねえかと

      見惚れていると知らない間に

      俺の意識は部屋一面に広がる銀河へと吸い込まれていった。

       

      朝方新聞配達のカブの音で目を覚まして

      勝手にシャワーを浴びて歯磨きを済ませる。

       

      あちゃあ、お酒飲んで先に寝ちゃうのは

      今年で何回目だろうか、バカタレ!

      学べよ、俺!と心で呟きながら

      自分へビンタする。

       

      そのビンタの音で起こしてしまった。

       

      おはよう起きるの早くない?

      寒いっしょ、こっちおいでよ。

       

      俺は無言で敬礼をすると

      掛け布団をドルフィンでかわし

      ベッドの上へとパドルアウトした。

       

      常夜灯に照らされた

      鈍いオレンジ色したシーツのシワが

      朝焼けに染まるうねりに見えた。

      助手席

      助手席

      海よ

       

      お前を助手席に乗せれたら

       

      とっておきのピザ屋にも

      お気に入りの蕎麦屋にも

       

      どこにだって連れていくのになあ

       

      その時お前は

      窓から手えだして

      風にはしゃいでたらいいさ。

       

      俺をはしゃがせてくれる君を

      たまにははしゃがせてくれよ。

      ディアブロ

      ディアブロ

      温泉が好きだ。

      1番遠い記憶では34歳?くらいの時に電車でじいちゃんばあちゃんと鳴子に行ったのが俺の温泉愛の始まりな気がする。

       

      家の風呂も好きだが

      家の風呂との違いはおそらく

      水が生きているか生きていないかだ

      いい温泉は入ればわかる。

      お湯が本気、うまく言えないがヤル気を感じる、間違いなく生きてる。

       

      貸し切りも好きだが

      大衆浴場も好きだ。

       

      風呂に入れば 老いも若きも男も女も皆同じだ。

       

      ドリチンをピンと立てた子供から

      萎びたイチジクをぶらさげたお年寄りまで

      素っ裸なのがいい

      人間の一生を見せられているようで。

       

      俺は今ちょうど真ん中付近にいる

      ドリチン坊ややイチジクジジイの目に

      俺の裸はどう映るのだろうか。

       

      湯ぶねからあがったばかりの

      俺のちんちんからめっちゃかっこいい湯気が

      でてる。

       

      この湯気の感じはマジでかっこよくてやな

      どうせなら、ずっとこの感じでいいなあ。

       

      見せてえなあ。

      ヘンタイだもの。