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      合計

      海へ還ろう

      FMラジオ

      4時に砂浜で目を覚ます。

      小雨なのか霧なのかよくわからないが

      天気がいいとは言えない。

      しばらくするとケイタがテントから出てきた。

       

      ジャンクだが入ろうぜ!

       

      浮腫んだ顔で俺に言う。

      30分くらい波に飲まれまくり終了

      海パンで入っても全く苦ではなかった。

       

      またしばらくしてアツシも目を覚まし

      それぞれのテントを畳む。

       

      3人で近くの温泉へ行き

      その後、市場に寄って岩ガキを食べた。

       

      その頃、体力ゲージが底をついた俺は

      運転を代わってもらい助手席でうとうと。

       

      連日のキャンプでの遊び疲れと

      日焼けに火照った身体が妙に心地よかった。

       

      意識の遠くでカーラジオから

      福山雅治の虹が流れていた。

      ブルースリー

      ブルースリー

      増やすな、捨てろ。

       

      飾るな、磨け。

       

      考えるな、感じろ。

      かみさま

      かみさま

      日本では古くから

      あらゆるものに魂が宿るとされ

      当たり前に存在するものの中に、

      目には見えないけれど尊い何かが宿るとして

      祈りの対象とされてきた。

       

      その延長線上で

       

      俺には俺の内側に

       

      あなたにはあなたの内側に

       

      それぞれ神様みたいなのがいるって感じでいいんじゃないか。

       

      協調性を主張しお互い削り合うより

       

      違いを受け入れ調和するべきだ。

       

      異なりを見つめ事足りる、

      凹凸を尊ぶ、この言葉に尽きる。

      降水確率90%

      降水確率90%

      暗くなるギリギリまで波に乗り

      海中から夕陽を見送る。

       

      昼が眠る、夜が目を覚ます。

       

      ラスト1本に丁寧に乗り

      砂浜にいる仲間たちの元へ戻る。

       

      クーラーボックスからビールを取り出し

       

      ぷしぃッッッゅッッッ!

      ごきゅごくゅきゅ

      んぁーッッッ!

       

      ほんのり塩辛い口の中を

      ホップの苦味が喉をこじ開け流れ込む。

       

      いやあ、何本かいいの乗ってたねえ!

       

      おー、見てた?むちゃくちゃ気持ちかったよ。

       

      わがる、見てても気持ちよがった。

      ほいっ、これもういげます。

       

      えのき、マイタケ、しいたけ、エリンギを

      バター醤油でただひたすら焼いたやつ

      これがバカ美味い。

      美味さが脳みそを直接ガツンと揺らす。

       

      ごきゅごくゅきゅ

      んぁーッッッ!

       

      なんだこの組み合わせ

      幸せだな、きのこ最強だわ。

       

      海パンを乾かすべく

      焚き火を囲む。

       

      知らない間に増えた

      誰のツレかもわからない女の子たちと

      お互い自己紹介しながら

      2本目の缶ビールで乾杯。

       

      日没後のピンクの空を見ながら

      ゆっくりとぬるい潮風が妙に心地よい。

       

      さすがに海上がり上裸は肌寒く感じ

      ロンTを羽織る。

       

      今日90%雨だったんだよ?

      本当に晴れたね!?

       

      んー、晴らしといた。

      俺が来たら晴れるように出来てんの。

       

      えー、本当?

      どうやってんの?

       

      残り10%100%かそれ以上信じるの。

      信じてやると10%100%ヤル気出してくれるからそれで晴れる。

      俺の100%に90%ごときが勝てるわけないじゃん。

      それだけ、ガチでそれだけ。

      しかも、今夜ペルセウス座流星群ピークらしいよ。

       

      なにその理論!

      テキトーなくせに説得力あんだけど!笑

      え?流れ星見れるの?

       

      そう、夕立ばりに星が土砂降るよ

      三大流星群だもん、見よかい!

       

      会話がどんどん雑になる。

       

      まだらにのしかかる雲の隙間から

      満月がこちらを覗く。

       

      あー今日は満月かあ

      次の満月は中秋の名月だな。

      もう、夏終わるね。

       

      えー、やださみしい

      ずっと夏でいい

       

      遠くで花火が上がる。

       

      焼く手を止めて

      みんなで眺める。

       

      この距離から見るのは初めてかもしれない

      少し離れて見るのもありだな。

       

      誰かわからんが

      脚をすりすりしてくる。

       

      これはもうアレですね

      脳が気づくが

      俺は気づかないふりをする。

       

      ケータイを開くと

      タイミングよくLINEが来る。

       

      友だちと海いたんだけどいる?

       

      おーいるよ

      来る?位置情報送るわ。

       

      5分くらいして

      2人が到着。

       

      花火買って来たよー!

      しよー!

      え?だれこの娘たち?

       

      友だち、今日会ったばっかの

       

      へー、そうなんだ。

       

      男同士はすぐ仲間になれるのに

      女同士ってどこか腹の探り合いがあるよなあ

       

      とか客観視しつつ何本目かのビール。

       

      なんやかんやで花火をして

      飲んでない娘の車で足湯に向かう。

       

      この中で誰が1番タイプですかあ〜?

       

      ん〜、1番口が固い娘かなあ〜笑

       

      何それ、シンプルにサイテーなんだけど笑

       

      サイテー?え?もっと言って❤︎

      サイテー、バカ、ヘンタイは

      俺等にとって褒め言葉なんだよ。

       

      ガチで言ってんの?笑

      サイテー!バカ!ヘンタイ!笑

       

      砂浜に戻り

      再び焚き火を囲む。

       

      ピカッ

       

       

      遠くに落ちるカミナリを見ながら

      なんか綺麗だなあとスケールに圧倒されながらも薪を拾う。

       

      パチっパチパチっ 

       

      パチっパチパチっ

       

      流木が心地よい音を立てて小さく弾ける

      火が揺れる。

       

      嗚呼、今日も夏が詰まってるなあ。

       

      空の様子はというと

      曇天である。

      月ですら隠れてしまった。

       

      ぽつッ ぽつぽつぽつ

       

      あっ!雨だ!

      撤ッッッ収ーッッッ!

      全員解散ッッッ!!!

       

      じゃあねー!

      またねー!

       

      またね、かあ

      叶うか叶わないかわからない約束をするのも

      夏らしくていいなあ。

       

      この夏もしばらく経って

      少し離れて見た時に

      最高の夏になってればいいな。

       

       

      明日も波ありますように!

      おそらく雲の上で土砂降り状態であろう

      流れ星に願いつつ

      助手席のシートを倒して

      雨の音に包まれながら眠りについた。

       

      01:37

       

      28℃

       

      晴れのち曇りのち雷雨。

       

      グーフィー

      グーフィー

      Goofy

       

      愚かな、おもしろい

      おっちょこちょい 

      天然な、マヌケ

      ばかばかしい

      イカれてる、クソ野郎

       

      という意味があるらしい。

       

      グーフィー

       

      レギュラーの逆

      右足が前に来るスタンス。

       

      俺の好きなサーファーは基本的に

      グーフィーフッターだ。

      ジェリーロペス

      ロブマチャド

       

       

      スケートもそうだ。

      マークゴンザレス

      ジョンカーディエル

      ミヤギゴウ

       

      パークに行っても

      グーフィーのキッズはやることが違う。

      会話をしても一味違う。

      個性的でユニークだ。

       

      だからグーフィーは"天才"だと思ってる。

       

      グーフィーのやつとは何故かうまがあう。

       

      一緒にサーフィンやスケートをしてから

       

      え?お前もグーフィーなの?

       

      ってなると嬉しくなる。

       

      なにを隠そう俺もグーフィーだ。

       

      俺は愚かにも

      自分を"天才"だと疑わない

      おっちょこちょいで天然で

      マヌケなばかばかしい

      イカれてるクソ野郎だ。